富野御大に物凄い”嫉妬心”しかないと言わしめた片渕監督の「この世界の片隅に」を観ました。

劇場公開当時は海外出張が立て込んでて映画どころではなく、その後iTunesのセル版でも買おうかなぁ…と思っていたところレンタル版が始まったというので、ちょうどiTunes映画レンタル1クレジットも持っていたのでそれで観賞。家族で観ました。

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もう語り尽くされ感のある映画ですが、のん(能年玲奈)の雰囲気が主人公「すず」にピッタリですね。能年ちゃんは本当にプロ役者というか、役に入ると何かが憑依したようになってしまうのですが、声だけの参加となるこの作品でも、その「モードに入った状態」は健在でした。

「この世界の片隅に」の意味は終盤に明かされますが(というか予告編で言っちゃってますが)、そう考えるとこれは「すずの半生の物語」がメインであり、その彼女の人生に「戦争」という軸が交差することで半生が歪められて行く…それは物語中の言葉を借りれば「過ぎた事、選ばんかった道、みな、覚めた夢とかわりやせんな」ということです。

いやそれとも、人生を歪められっぱなしのすずが、「この世界の片隅に…」という思いに至る気持ちの変化が見所なのでしょうか…?

ともかく、今までに例を見ないタイプの戦争描写です。この呉市の20km先では「火垂るの墓」が繰り広げられている筈なんですが、できるだけ平常運行を保とうとする人間の性(さが)をゆるいキャラで描いているものですから、それがまた逆に恐ろしい。表現においてディテールって何なんだろうと考えさせられます。

いい映画でした。