梅本製作所の自由雲台、SL-50ZSC を数ヶ月前から使っています。
今まではGitzoのGH1780QRを使っていましたが、ボールがグリスを使わないフッ素コーティングによる潤滑方式であることと、Gitzo純正ならではの三脚との一体感など良い点もありましたが、結局は「クイックリリースプレートは自分にとって不便である」という結論に達しました。




クイックリリースプレートを使わない自由雲台となると、カメラ取り付け台座とカメラ取り付けネジが一体化しており、台座自体を回転させながら取り付けるものが主流。しかしこれだときつく締める際にカメラ底面と台座が強く擦れることになるので、双方の劣化が発生します。それはイヤなので、「台座と独立してネジが回せるタイプ」の雲台を探したいところ。

となると、梅本製作所やベルボンのQHD-73/63/53あたりが挙げられます。どちらもよさげですが、ここはブログネタとしても(ぉ、一部でカリスマ的人気を誇る梅本製だろうと。自分は大型三脚を持ち出す場合は至近距離か車での移動がほとんどなので、極端に軽量には拘らず、同社のラインナップの中で中型にあたる SL-50ZSC を選びました。




梅本自由雲台で懸念していたのはボールの潤滑がグリス式なので、ベタベタしているボール部分に間違って触ってしまったらイヤだなとある意味「食わず嫌い」していたのですが、現物は確かにグリスが塗ってあるのは解りますが塗布量がごく薄いためさほどベタベタしておらず、許容範囲でした。

肝心の固定力はどうでしょうか。

梅本雲台と言えばスッと動きカッチリ止まるという触れ込みですが、確かにフルサイズデジイチを乗せて角度を決めて固定ノブを締め込んでいっても、角度方向(カメラがお辞儀する方向)にはビクともしません。具体的には200mmの望遠レンズを付けた状態で締め込んでいっても、角度方向のズレは視認できないほどです。触れ込み通り、素晴らしい性能です。

ですが、落とし穴もあります。

確かに角度方向にはズレないのですが、ボールを下から上に締め上げるせいで、垂直方向にズレるのです。EOSのファインダーの中央にあるAF指標の四角「□」の数分の一という僅かな量ですが、確かに締めると垂直に持ち上がります。

ですので、しばしば絶賛されている「ピタッと止まる」についてはまったくその通りなのですが、ズレ量はゼロではない、ということは記しておきたいと思います。

ただ、それが実際の撮影でどれほど問題になるかというと、まったく問題にはなないと言っていいでしょう。それより足場の土の沈みとか、それこそ三脚自体のたわみとか、そちらの方が誤差としてはよほど大きい。

そうそう、あと梅本雲台と言えば「少し緩めると微調整が可能」という評価もありますね。確かにそうなのですが、その操作にはやや神経を使うように感じました。すなわち、疲れた頭で操作するのには向かない、ということです。但し、構造的に1方向しか大きな角度でお辞儀しない造りになっていますので、ウッカリ大きく緩めてしまって長いレンズをガツン、というトラブルは確率的には低いと思います。

個人的にはこの梅本雲台は物理法則的に大変素直に作られており、贅沢な素材を精度良く組み立てて、かつリーズナブルな価格に仕上げたところに価値があると思います。絶対性能を求めるのであればアルカスイスを推す声に異論はないのですが、誰もが雲台に5万円を出せるわけじゃない。1万円台で買える雲台として、この梅本の雲台は価格以上に大変よくできていると思います。

雲台にはユーザーとの相性があるので、万人受けする雲台というのは存在しないと思いますが、

・自由雲台
・クイックリリースプレートは不要、というかむしろ邪魔かもと考えている
・レンズは長くても200mm程度まで
・シンプルな操作系
・予算1万円台

という要求スペックであるのなら、オススメです。

これを使う前は Gitzo の GH1780QR にすごく後ろ髪を引かれていたのですが、使い出したら自分の使い方にピッタリで、Gitzo三脚とのデザイン上のアンマッチなんて気にならなくなりました。そう、三脚を使うことが目的ではなく、三脚を使って写真を撮ることが目的なわけですから、サッとセットできてパッと撮れるこの雲台には大変満足しています。