昭和30年代の横浜が舞台と言うことで、これは横浜在住者としては観ておかなければと思い、いつもの109シネマズMMへ。

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宮崎吾朗監督と言うことで不安視される方もいらっしゃるとは思いますが、いやいや、立派にジブリ作品になっていました。「自然との共生」とかのメッセージ臭もしないし、特殊能力とかが出てくる映画ではありませんが、少女が空から降ってくる…いや今回は少年が空から降ってくるのですが…という点だけは健在です(笑

惹かれ合う若い男女、そしてお互いの出生の秘密…など、いかにも1980年代少女コミックを原作にしている感はあるのですが、原作は時代がリアルタイムだったのに対し、映画では1960年代になっているのが最大の変更点。


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ヒロインのキャラクターデザインについて、ブレザー制服からセーラー服に変更、しかも紺セーラー服から白セーラー服に変更、さらにおさげの位置を上の方に変更、など、製作過程においては宮崎駿氏からの「ヒロインはもっと可愛く」というアドバイスがあったとも聞きますが、なるほど、厳しめのルールに律された所作を含めて、男目線から見てとても可愛いヒロインになっていると思います。

セーラー服の上に割烹着とか、ブラウスにピンクのカーティガン、膝丈のスカートなど、ある一定年齢層以上にはグッとくるものがあるのではないでしょうか。まるでNHKの朝の連ドラを見ているような錯覚も覚えます。(ただ、ヒロインの衣装がパジャマ以外に2種類しかないのも男目線に感じますが…昭和30年代ってそういう時代でしたっけ…?)。

あと声がいいですね。主役級の2人が長澤まさみさんと岡田准一さん。ジブリ作品はあまり声優を使わずに俳優を使うことが多いですが、この2人の声が実にいい。長澤さんの方はあえて無愛想に演じたらしいですが、それがすごくヒロイン:海のキャラクターに合っていて、アニメを越えたリアリティを出していました。


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冒険活劇のようなアクションが展開されるわけでもありませんし、淡々とした日常、そして昭和30年代の空気感、その中で芽生える恋心が中心に描写されるので、子供と観に行く映画ではないですね。たぶん子供は途中で飽きると思います。対象は少なくとも中学生か高校生以上、メインターゲットは40代後半以上なんでしょうね。私は思いのほか、本作が気に入りました。ブルーレイ買うかも知れません。


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ちなみにこのヒロイン、横浜市の林文子市長と同い年なんだそうで。なるほど、この世代はこうやって育ったのか、ということが分かると、今の会社や労組で行われていることが凄く腑に落ちるものがありました。


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ジブリ監修の「ビジュアルガイド」というのが市販されていると聞き、近所の本屋を回ってみたのですが売っておらず、おいおい、これを横浜で売らないでどこで売るの?と思いつつAmazonで注文。


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現在の横浜との対比や、ストーリーをなぞったビジュアルシーンが満載なので、強烈なネタバレ本になっています。劇場パンフは見ていませんが、分量もあるし、これはパンフより全然良い出来なんじゃないかなぁ。