やっと読み終わりました。いやー最近読むの遅くて(笑

著者の本田雅一氏は、私の中では信頼性の高いコラムを書く人、というイメージがあるのですが、本書も期待に違わぬ6年にわたる圧倒的な取材量によって裏付けされた、読ませる内容になっています。

私は本書に書かれているような舞台の3回りくらい外で仕事をさせてもらっているのですが、やはりちょっぴり足を突っ込んでいるが故に、見えなかったことは多かったなと、多数の「気づき」を本書から得ることができました。

でも本書の主旨はそういったものではなくて(たぶん前述のような読み方は邪道(笑))、自信を失ったかに見えた日本の一角で、世界を制した人たちがいたことや、今後日本が再び明るい未来を取り戻すのに何が必要か、を示唆する内容です。

既に量販店の店頭や展示会等で3Dテレビを体験した方には、「うーん、まぁ、すごいけど、買うか?と言われると…」とか「2時間は見てらんないな…」という感想を持った方も多いと思います。しかし、本書は3D映像の是非を問うのではなく、電機メーカーが3D映像に取り組む理由を描いている点で画期的です。たぶん本書を読むと、「3Dなんて…」という声のトーンが落ちること請け合いです(笑

人を褒めるのは難しい。それゆえ、世間には「いかに世界と比べて日本がダメか」というテキストが氾濫していますが、そんな中にあって本書のような、日本の活躍を描き出す観点は貴重だと思います。

ちょっと物足りなかったのは、パナソニックがある日突然、完成度の高い3Dテレビシステムを作ってしまったところですね。過去の3Dと具体的に何が違うのか、まぁ守秘義務の縛りで書けないのかも知れませんが、プアな原体験ゆえ3Dに対して穿った目を持つ40代以上を、技術面で納得させられる材料があるとなお良かったですね。

なお、本書を購入した方は全文PDFダウンロード権がもらえます。11月末まで。