すごく長いテキストですので予めご了承ください。

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■売れ筋はHDD式のはずなのに、メモリー式を選ぶ

ビデオカメラを選ぶに当たって、HDD式とメモリー式のどちらにするか。どちらかというとHDDタイプが売れているようだが、個人的には何らかのモーターを回して記録するタイプはやや時代遅れの感がしてならない。

フラッシュメモリの容量あたりの単価はまだHDDや光ディスクに比べると高価だが、ビデオカメラ用途としては信頼性や堅牢性の面で、コストの高さを上回るメリットを享受できるように思う。

メモリー記録式ビデオカメラの大手と言えば、パナソニック、キヤノン、ソニーが挙げられる。私は今までパナソニックのHDC-SD3を使ってきたが、屋外、特に曇天時のホワイトバランスが緑っぽいのが気になっていた。肌色の描写は悪くないのだが、肌色以外の部分がことごとく緑に引っ張られるように思う。最近のモデルも確認してみたが、程度は改善しているものの緑っぽい傾向は変わらなかった。

次にキヤノンのHF11/HF10/HF100だが、オートフォーカスの速さと正確さ、そして映像の解像感の高さに驚いたものの、同社のデジカメの画質から受ける印象ほど映像が低ノイズでないのにやや落胆した。ノイズを目立たさないためだろうか、暗いところでを明るく映すのも苦手なようだった。

この3社の詳細な画質の比較はサイカさんのところに詳しいので割愛する。結論を言えば、この結果を見せられたら、十中八九はソニーになろうというものだ。

そういった経緯で、半ば消去法的ではあるが、ソニーHDR-CX12を選ぶことにした。



■中途半端にマニア指向だが他に選択肢がない

HDR-CX12と同じ光学系と思われるカメラに、HDD記録のHDR-SR11/SR12がある。モーターを回して記録すると言うことで私の選定からは外れるが、HDR-CX12にはない「電子ビューファインダー」があるのがうらやましい。明るい屋外での撮影では液晶よりフレーミングがしやすいし、子供相手に撮影をしていても、液晶だと「見せて見せて〜」と子供が寄ってきてしまい撮影にならないからだ。

また、外部マイク端子もSR11/SR12にはあるがCX12にはない装備だ。外部マイク端子はなくともアクセサリシューに装着するソニー純正の外部マイクは使えるわけだが、汎用の端子があればもう一段高性能なマイクが使えるという点で惜しい。さらに録画中の音をモニターできるヘッドホン端子もSR11/SR12にしかない。

なぜSR11/SR12とソックリでありながら、こういう微妙な点で差を付けてくるのかについては、ソニーの気持ちは理解できないが、HDD記録よりメモリー記録の方が初心者向きという定義なのだろうか。CX12では装備を省いてでも「小さい・軽い」を謳いたかったのだろうか。それもつまらない話だ。

その一方で、SR11/SR12にも付いているが、「カメラコントロールダイヤル」という使い勝手のいい装備がCX12にも付いていたりする。このダイヤルの有効性については後述するが、撮影中にこのダイヤルに指を伸ばそうというユーザーはある程度のマニアだと思う。カメラ全体としては初心者向けの雰囲気を醸し出しつつもピンポイントでこういったマニアを引き留めるような装備を付けてくるところが、痛くて痒くてしょうがない。

とはいうものの、メモリー記録のハイビジョンハンディカムはCX12のほかは縦型のTG1しかない現状では、メモリー記録を最優先事項とした場合には、SR11/SR12にしかない羨ましい装備には目をつむるしかあるまい。



■実質7万円台中盤

そして購入したHDR-CX12だが店頭で価格交渉し、ポイント込みで実質7万円台中盤であった。キヤノンのHF10が実質6万円台で買える場合があるが、HF10がメモリーカード別売であることを考慮すると、8GBのメモリースティックが付属するCX12の価格としては悪くない。

なお余談だが、値引きの方法としては(1)「安くしないと他店で買っちゃうよ」という方法と、(2)「安くしてくれるなら買ってもいいよ」という方法、そして(3)「いつもこの店の応対がいいので今回もぜひここから買いたい。だから安くして」という方法を使い分けているが、今回は(3)の方法で攻めた。私はこれらの方法を店員の性格を見極めて使い分けている。

ネット現金問屋系だと値引き交渉の苦労をせずに安く買えるが、中には初期不良だった場合に交換ではなくメーカー修理になってしまう店もあるため、今回は大型量販店で購入した。ハンディカムの初期不良率など1%にも満たないと思うが、もしそれを引いてしまった場合に修理というのは、買った直後の対応としては悲しいではないか。

さて、そんなわけでツマにも相談せず我が家にやってきたHDR-CX12であるが、ツマの「なんでそんなに何台もビデオカメラが要るのよ」という呆れた視線を感じつつ開封。ちなみに我が家にあるビデオカメラはこれで4台目(DVテープ式、DVD式、SDカード式、そして本機)である。


■質感は高いがメニュー構造に難あり

本体の質感はライバル他社より一歩ぬきんでていると思う。グリップする面にパーティングラインのような線が見えるのが惜しい点だが、塗装の下に入ってしまっているようなので触っても出っ張りは感じない。本当はブラックボディのカメラが欲しかったのだが、これだけ質感が高ければシルバーでも満足できた。

多くのレビューで賞賛されているとおり、プラプラしがちな端子類のフタがヒンジ付きやスライド式のものになっているのは好感が持てる。その一方で電源スイッチダイヤルは回転方向の関係で右手ではあまり回しやすいものではなく、回した感覚もグニャッとしており頼りない印象。

電源を入れて一通り操作してみる。本機の操作は主にタッチパネルで行うが、「ホーム」ボタンと「オプション」ボタンの使い分けがスッと頭に入ってこない。Windowsで言えば本機の「ホーム」が「スタートメニュー」で、本機の「オプション」が「右クリックメニュー」に相当するのかな?とは思うが、いかんせんメニューの構造のセンスがよろしくない。

考え方としては「ホーム」ではすべての設定ができ、「オプション」では現在使っている撮影・再生モードで設定できる項目だけが表示される仕組みのようだ。この考え方自体は悪くないのだが、問題は「ホーム」から入ったときと「オプション」から入ったときでは、画面構成はそっくりなものの、並んでいる設定項目のカテゴリー分けや表示位置が全く違っている点にあると思う。そのため、既視感を利用してメニュー項目を頭に入れるのが大変難しい。改善を望む部分である。

そもそも、タッチパネルによる操作自体があまり快適なものではない。タッチパネル操作の割には、画面の額縁が高いため指が画面の端に届きにくく、画面自体も小さいため目的の項目を押すのが大変だ。左手で操作する場合、画面右側のメニューを操作する場合に指が画面を塞いでしまい見えないと言う問題もあるし、右側に液晶のヒンジがあるので、右側のメニューを右手では操作しにくいという問題もある。

他の機能、性能が同じだったら、私だったらタッチパネルなしの機種を選びたい。今回は他に選択肢がなかったからタッチパネルの機種になってしまったが、タッチパネルだからと積極的に選ぶ気にはなれない。もし改善できるのであれば、画面は少なくとも3.5インチ以上にし、額縁による段差をもっと低くしてもらいたい。

タッチパネル化により操作ボタンが削減されているため、たとえば再生時の音量調節がメニューの深い階層にあり、とっさに音量を下げたいという要求には応えられない。再生時は周囲の空気を読む必要がある。

その一方で、カメラコントロールダイヤルによる操作性は素晴らしい。ダイヤルの中央部のボタンを押すと専用メニューが表示され、何をダイヤルで調節するのかを選べるようになる。そこで選んだ項目は、その後ダイヤルを回して調整が可能になる。使いやすい設計である。



■顔認識による露出補正は控えめ

パナソニックHDC-SD3での一番の不満点であるホワイトバランスについては、本機ではまったく気にならない。本機ではいかなるシーンでも破たんが少ないホワイトバランスなので、安心してオートで撮影できる。

一方で、オートフォーカスは平らな被写体に合いにくかったり、合っていると思っていてもフカフカとフォーカスが微動するなど、若干神経質な面がある。この辺はキヤノンの方が優秀だ。フォーカスが微動する条件は使いこなしの過程で会得するしかなさそうだ。

画角は広角側が35mm判換算で40mmからと、他社も同様だが狭すぎる。望遠を多用する運動会ならそれでいいのかも知れないが、最近ビデオカメラは運動会よりも出産を機に購入する方が多いと聞く。メモリーカード式やHDD式はデジカメ感覚で普段からサッと持ち出して使える素養があるのだから、普段使いに便利な画角で設計してもらいたいものだと思う。もちろん別売でワイドコンバージョンレンズはあるが、レンズキャップは手で閉めるようになってしまうし、何と言っても大きく重く高価だ。

スマイル検出により自動的に静止画が撮影される機能がユニークだ。動画を撮っている最中に、メモリースティックの中に自動的に笑顔ばかりの静止画がたまってゆき、あとで見返すととても楽しい。なおこの機能はCX12だけにあり、SR11/SR12にはない。

顔認識機能により顔にフォーカスや露出を合わせてくれる機能もあるのだが、あまり強い露出補正はしないようで、逆光条件などでは顔認識による露出補正では補正量が足りないと感じるケースがある。その場合は例のコントロールダイヤルで明るさを好きなだけ持ち上げてやればいい。

内蔵のマイクの音質は可もなく不可もないが、ステレオ感は強いものの前方に対する指向性は弱めだと感じた。学芸会などで舞台の音を拾う場合は別売のズームマイクが欲しいかも知れない。


■撮影した映像をどうするか

本機で撮影した動画は、ソニーのブルーレイBDZ-L95や、パナソニックのブルーレイDMR-BW730/830/930(USB接続)などのHDDに取り込め、ブルーレイディスク化することができる。あらかじめカメラ本体で分割・消去機能による不要シーンのカットが可能であるが、カメラ本体で分割・消去を行った場合にはそのポイントで映像が息継ぎ(0.5秒ほど静止する)するので留意したい。この息継ぎは人によっては全然気にならないという場合もあるが、私は気になった。

息継ぎをさせない編集方法としては、PanasonicのWebから購入できるHD Writerというソフトウエアを使う方法がある。ただしHD Writerはメモリースティックをそのまま認識することができず、認識させるためにはあらかじめメモリースティック内の「AVCHD」フォルダを丸ごと、新たにルートディレクトリに作成した「PRIVATE」フォルダに移動しておく必要がある。また、再度メモリースティックをカメラで使う場合には「AVCHD」フォルダをルートに戻す必要がある。

ここで、「AVCHD」フォルダ内にはいくつかのファイルがあるが、そのファイルを単独で移動したりしてはならない。AVCHD規格から外れ、危機や対応ソフトから認識されなくなるためだ。逆に、「AVCHD」フォルダを丸ごと扱っている限り、移動・コピーは自由である。

パナソニックのブルーレイレコーダーに取り込む際には、日付ごとに取り込むことはできず、すべてをまとめて1つの映像として取り込まれてしまう。これを避けるためには、分けて取り込みたいポイントで、2〜3秒でよいので、あらかじめ別の録画モードでダミーの映像を録画すると、そこを境に別の番組として扱われ別個に取り込みが可能になる。録画モードの異なる映像を1つの番組として扱えないという機能制限の裏を付いた小技である。



■他に気になった点

最近のソニーのビデオカメラは、リモコン端子の規格が変わっている。10年ぶりにカメラを買い換えるというような場合、LANC端子を利用した手持ちのリモコン付き三脚は、最近のハンディカムでは利用できないので注意したい。三脚としては10年くらいでは全然劣化していないケースもあると思うので、三脚の買い換えを検討する前に別売のワイヤードリモコンRM-AV2を検討すると良い。

別売の液晶保護フィルムPCK-L27Wは映り込みがひどく、屋外での視認性が著しく低下するので、それを承知の上であくまでキズ付きを防止したいという場合のみしかお勧めできない。なお、他社の保護フィルムを見渡してもPCK-L27Wより映り込みが低減するものはなさそうだ。何も付けない状態が一番視認性はよいが、タッチパネルゆえキズ付きは避けられない。

別売のマイクはサイカさんには「ソニーもキヤノンも専用シュー規格でロクな外部マイクを出してない」と瞬殺されてしまうものしかないが、ECM-HST1かECM-HGZ1をいずれ買ってみようかと思っている。しかし今のところ内蔵マイクの音質に不満を感じるケースはない。でも別売マイクの音を聞いたら、もしかしたら「早く買っておけば良かった」と思うかも知れない。しかし結構サイズが大きいので悩ましいところではある。

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